CBTプラットフォーム「TAO」の導入事例(OAT社の事例記事の翻訳)です。
従来の紙ベースの調査PBT(Paper Based Testing)に比べ,運用コストなどの面からも,実施の規模を格段に拡大できることがCBT「TAO」の大きなメリットになっている事例です。
背景:BACKGROUND
DEPPは,フランス教育省における学術および職業訓練のすべての分野における評価と統計分析を担当する部門で,学生の知識やスキル,さらにはモチベーション,社会生活,自尊心などの分野における学生の認知発達に関する客観的な情報をステークホルダーに提供します。
DEPPは、65,000以上の小・中学校(1,200万人の学生)を対象としたサンプルベースでの調査・評価を実施しています。 サンプルサイズは通常,8,000〜12,000人の学生の範囲で,年間に8〜10のテストプログラムが実施されます。
近年,DEPPは紙ベースのテストからコンピュータベースのテスト(CBT)への移行を志向していました。CBTへの移行の決定は,教育省から各学区(フランスでは約30学区)の詳細な情報を収集し,既存のテストプログラムの実質的な調査規模の拡大の必要性によっておこなわれました。
紙のテストでの調査規模は,10,000〜20,000人に制限されていましたが,CBTでは160,000人まで,あるいは1200万人の学生全員でさえ管理できます。
さらにCBTは,調査規模の拡大の利点に加えて,インタラクティブタイプ(PCI)の調査方法の開発を容易にすることで,評価の質を向上させると考えていました。
チャレンジ:CHALLENGE
今回のCBTの取り組みのために,DEPPはSOCLEテストを選択しました。このテストでは,フランス語,数学,および科学の第6学年の学生に必要な基本的なコンピテンシーを評価するものです。
CBTの目標は,調査規模を20,000人(紙ベースのテスト)から最低160,000人に増やすことと,2016年5月に予定された第9学年の10,000人の学生の評価のために,革新的で魅力的な質問形式を開発することでした。このSOCLEテストは,ヨーロッパにおいて,オンラインで行われた最大の標準テストです。
以前のインハウス(レガシー)のCBTへのアプローチは、もともとデジタル読解力評価のために開発されましたが、大規模な利用を想定し設計されておらず、また質問形式が限られており、適応的な方法で実装するのが困難でした。
したがって、CBTの開発を継続するにあたり、DEPPには次の4つの重要な要件がありました。
- オープンソース
- 160,000人の学生をサポートするスケーラビリティ
- 相互運用性のためのQTI標準準拠
- コスト効果
課題解決:なぜTAOが採用されたのか?
評価の結果、DEPPは上記の要件をすべて満たしているCBTプラットフォーム「TAO」を選択しました。
TAOはオープンソースであり,革新的な質問形式の開発に理想的です。すべての関係者間の効率的なコミュニケーションを促進します。
TAOは,オーサリング/編集システム,配信システム,アイテム/テストバンクシステム,QTIコンテンツ自体の4つのカテゴリすべてにおいて,QTI準拠を達成した最初の製品です。
TAOは,世界中の大規模な展開におけるスケーラビリティを繰り返し実証してきました。
オープンソースとは,TAOがライセンスやテストの手数料をゼロになることで,実施自体が予算内で実現されることを意味します。
結果:TAOオープンソースソリューションの実装
SOCLEテストのフィールド試験は、DEPPの最初のTAOベースでのCBT大規模実装でした。 100校の1年生から2年生までの6つのクラスに分かれ、合計3,000人の学生を対象に試行されました。
成功したフィールド試験に続いて、テストは引き続き7,500の中学校の半数以上に配備され、合計160,000人の学生、つまりフランスの6年生5人に1人が受検したことになります。
TAOで運営されていたCBTは大きな成功を収めました。
このプロジェクトは,全国規模で、それぞれ独立して実施され,支援する学校は 4,000以上におよび、最大30の地区が追加されました。各学校にはトラブル対応のためのIT関連責任者が置かれ、地区のホットラインにエスカレーションしてサポートを受けることができます。各地区には、各学校のすべての運営に対応できる専用のサポートチームが用意され、DEPPは,そのサポートチーム全体をマネジメントしました。
最後に、TAOベースのCBTを学生1人につき5ユーロ以下のコストで実施できるのに比較して、紙ベースのテストでは10ユーロになります。学生1人当たり最低50%のコスト削減を実現できたことになります。
TAOベースの大規模CBTであるSOCLEテストの成功に伴い、DEPPの長期計画には、調査科目と調査対象学年を増やし,最終的に調査規模を80万人にする計画です。さらに長期的な計画では、多段階適応テスト、よりインタラクティブな問題の開発、障害学生へのアクセシビリティサポートによる対応可能な評価テストの開発などが含まれています。
引用元:https://www.taotesting.com/wp-content/uploads/2016/11/French-Ministry-of-Education-Case-Study.pdf
ITと教育の分野でのイノベーターとしてのインフォザイン
「株式会社インフォザイン」は、東京 上野にオフィスを構え、教育とテクノロジーを融合させたEdTech分野でビジネスを展開しています。
「オープンソースとオープンスタンダードを活用し、教育の未来を創る」ことを目指し、特に力を入れているのは、ルクセンブルクのOAT社が開発したWebベースでアセスメント・テストを実施するためのCBT(Computer Based Testing)プラットフォーム「TAO」をベースとした新サービスの開発と提供です。
オンラインアセスメントのためのSaaS版CBTプラットフォーム「TAOクラウドJP」をはじめ、学力調査、大学入試、各種資格・検定試験などのCBT化に実績のあるアセスメントサービスを提供しています。
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